上海で未来の街を見てきた。あのザハ・ハディドが手がけた、巨大オフィスビル群「凌空SOHO」だ。あまりにも強烈なクセを有するこの空間は、あの手この手でケチをつけようとする人も極めて多いだろう。自分の理解を超えるものに対しては、どうしても警戒しちゃうもんねえ。しかし、良いか悪いか、正しいか正しくないか、好きか嫌いかなんて価値観は、全くつまらんと一蹴されるほどに非現実的な現実空間だった。
日本でもかつて、できたばかりの首都高がタルコフスキーのSF映画「惑星ソラリス」の中で未来都市を演出する舞台になっていた。当時の日本はいまの上海と同じように、世界の未来を手にしていたのかもしれない。そして、それを取り戻すことができないほどに老いているのだろう。
凌空SOHOの中庭で、お昼休みにそれぞれのペースで過ごしている人々が、ついつい未来人に見えてしまった。そんな自分の感覚が、つまらん自己保身に結びつかないようにしていかないとな。