はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

手段の目的化

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韓国の埋立地に架けられた斜張橋。曲線の柱で構成された斜めに傾くタワーを介して、橋台をアンカーとしながら張られたケーブルが水面上の桁を引っ張り上げている。そして、その桁の上を別の高架橋が遠慮なく跨いでいる。高架橋の橋脚の向きや形状を見ると、この水面が流れがある河川ではないことがわかる。さらにその橋脚の位置からは、わざわざ斜張橋によって一気に跨ぐ必要性などないこともわかる。

仰々しい造形要素を過剰に盛り込んだこの橋は、機能的必然性という橋梁本来の役割をすっかり超越し、記号化された「斜張橋的置物」としての意味だけで成立していると言えよう。ちなみに、この写真位置から背後を振り返ると、以前書いた謎のダブル楕円タワーの斜張橋も見ることができる。 やはりこちらの存在意義も、さっぱりわからない。

このような橋梁は、韓国の経済が好調だった時期に一気につくられた。その後に好景気に沸いた中国でも、同じような状況がさらにスケールアップして続々と生まれているようだ。もちろん、2〜30年ほど前の日本を振り返ってみると、同様のことが言えるよね。お金の使い方を熟知しない状態で大金を動かす必要に迫られると、ついつい調子に乗り過ぎて、目的を見誤ってしまうんだろうな。僕も大金を手に入れた際には気をつけよう。