はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

古い駅舎の新しいシェル

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ロンドンのキングス・クロス駅は、ハリー・ポッターの9と3/4番線でおなじみ。でも僕の中では、2012年につくられた新たなコンコースを実現したグリッド状の構造を持つシェル屋根でおなじみだ。

1852年から続く由緒正しい歴史的建造物である駅舎を現状保存しつつ、印象的な大空間を見事に創出している。中心にそびえるじょうごのような柱にグリッドが吸い込まれていく様子は、SF感が満載。新旧が混在するカオスで難しい命題を、エグみを取り入れながらもエレガントに解いている。

世界的にも古いものと新しいものを混ぜて新たな価値を生むことが盛んに行われているが、英国のそれには明確な強い意志を感じる。それは現代を生きる人のために空間の意味合いをコンバージョンするという、未来志向の保存姿勢と言えるかも。

そうそう。この屋根のグリッドに触発されて、あらためてネルヴィによるローマのオリンピックドームの写真を眺めてみたけど、やはりかっこいいなあと思った。変化しつつ連続するものって、魅力的だよね。