はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

大きな空間の展示

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このところ建築の展覧会に行くことがすごく増えた。ザハ展、ニーマイヤー展、ゲーリー展に続いて、先日は「フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション」に行ってきた。自分の興味の対象に建築家や建築物が加わってきたという事もあるだろうけど、そもそも建築家の展覧会が開催される機会が増えているように感じる。

自分の中で建築への興味が大きくなったのは、5年前のオランダ滞在の時に実際の有名建築を数多く体験したことが大きな要因だろう。上の写真は、ロンドンのスタンステッド空港。軽量な大空間が魅力的。住んでいたアイントホーフェンからLCCでロンドンに行くと、この空港に到着する。その時はフォスターが手がけていたことを知らなかったけど、到着早々この空間にびっくりしたことを憶えている。

六本木ヒルズ展望台のギャラリーで開催されているフォスター展は、見応えのある大きな模型が、大量にみっちり並べられている。しかも、交通インフラ系が充実している。なので、興奮とともに楽しむことができた。でも、全体的に窮屈な空間になっていたことが残念。超絶構造による大スパン建築が見せ所のひとつなのにね。様々なプロジェクトを紹介する素晴らしい映像群も、ゆったり鑑賞できるスペースがないし。こちらの時間的都合もあったとは言え、あまりゆっくり見られなかった。

あと個人的に、フォスター事務所はテクノロジーを駆使したいわゆる「ハイテク建築」のトップランナーとして認識していたので、「エコロジー」や「サスティナブル」推しの展示内容が少し鼻についたな。バックミンスター・フラーから継承される思想面を強調するってのは、まあわかるけど、なんだか世相に合わせて置きに来た印象を受けちゃった。素材、構造、施工などから生まれるバカバカしいほどのクールな凄みを、かっこよく見せてくれるだけでもよかったんじゃないかと。

それにしても、建築の展示ってのは難しいね。根本的にスケールの問題はなかなか解消できないし、複合的な問題に対するアウトプットは複雑すぎるし、何を伝えたいかによって見せ方は全く異なってくるし。現地に行ったことがない人や、そもそも建築空間の体験が少なかったり、見方が形成されていない人にとっては、模型や図面や映像があっても理解しにくいだろうなあ。僕の場合はラッキーなことに、実際のフォスター建築をいくつも体験しているから実感できた。ということは、ただの自慢である。(FBアルバム:Lord Norman Robert Foster (Foster and Partners)

「建築」展示の潮流を概観すると、これから「土木」展示の機会も増えていくに違いない。建築以上の空間的広がりや抽象的概念をどうやって表現していくのか、難しさはたっぷりあるけど、楽しさは無限に広がっているね。