先週まで国立西洋美術館で行われていた「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」は、大型連休の終盤にようやく行くことができた。その内容はモダニズム建築を代表するル・コルビュジエ(シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)が描いた絵画を軸としながら、その時代や思想の変遷を、コルビュジエとその弟子たちが手がけた建築空間の中で味わうというもの。この空間体験そのものに、たいへん大きな価値を感じることができた。
自分にとっては、ファインアートと建築との関係を直視することが新鮮だったし、キュビズムの時代性を再認識することができたし、過去に訪れたことがあるコルビュジエ建築を追体験できたことも楽しかった。たいへんな混雑っぷりだったけど、どうにか行くことができてよかったな。
前川國男の設計による新館は、企画展に比べてずいぶん落ち着いていた。一息つきながら椅子に座って見上げた眺めが上のドット柄天井。柔らかい陰影ときっちりした図形が規則的に並ぶ天井をあらためて見ていると、展示物の鑑賞を邪魔されることなく、パースペクティブやシークエンスといった空間の豊かさが染み入ってくる理由がわかった気がした。いや、人混みで疲れていたところでホッとしただけかもしれないが。