はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

サイボーグ化した岩盤

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アーチダムってのは膨大な水圧をアーチ構造で受けて岩盤に伝えるため、両岸が頑強な谷にしかつくれない。このため、アーチダム鑑賞の際は、ドーム曲面の美しさを愛でるとともに、堤体が突き刺さっている大地のがんばりがひとつの見どころである。

なかでも長野県松本市の奈川渡ダム(柔らかい曲面)の右岸側の岩盤は見応えがあるよ。大量のロックアンカーが容赦なく打ち込まれている上に、コンクリートでがっちり巻き立てられているのだ。不可思議な多面体の造形がたまらないね。その面に沿って管理用通路が迷路のように張り巡らされており、昇降する階段を目で追っていくとドンキーコングの世界に入り込んだ気分になれる。

ここまで岩盤を補強しなければならないということは、アーチダムの適地ではないんじゃないかと勘ぐりたくなるが、もしかするとこの程度の補強で済んでいるという解釈が正しいのかもしれない。いずれにしても信じがたい迫力を醸し出しているサイボーグ岩盤は大きな見どころなので、奈川渡ダムを訪れる際には忘れずに鑑賞していただきたい。

あ、東電の広報施設の梓川テプコ館は、震災後に閉館してしまったので入れないよ。本当に残念だよねえ。