はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

薄い板

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スイスのフライエンバッハという街の南にある、高速道路の上空に架けられたビルヒェルヴァイト(Bircherweid)歩道橋。高低差がある場所を驚異的に薄い板だけの構造物は、なんと1965年につくられた世界初の吊床版歩道橋だという。少々道に迷いながらたどり着いたこの橋の上で飛び跳ねてみたら、見た目の通りに簡単に揺れた。高速道路の上だと必要以上に恐怖感が増すね。

やんちゃなまでに軽量な構造を追求したこの橋は、緊張感のあるミニマルな美しさを獲得しているように感じた。補修や補強の手はちゃんと入っているらしいが、もともとの価値を下げることにはなっていない。緩やかなカーブを描く橋の上からチューリッヒ湖を見下ろしたときの風景も感動的。もちろん最後の締めとして、高速道路から見上げることでその薄さを噛みしめた。

この橋のことは、スイスに行く前に読み直した「Footbridges―構造・デザイン・歴史」という書籍で知った。たいへん贅沢なことに、この本の訳者の一人に連れて行っていただいた。この本、内容もビジュアルもたいへん素晴らしいのだけど、値段がお高くて容易に勧められないんだよね。もっと多くの方に目に止まるといいんだけど。

 

Footbridges―構造・デザイン・歴史

Footbridges―構造・デザイン・歴史

  • 作者: ウルズラバウズ,マイクシュライヒ,Ursula Baus,Mike Schlaich,久保田善明,増渕基,林倫子,八木弘毅,村上理昭
  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 2011/02
  • メディア: 大型本
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