はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

先駆け吊橋

鳴門海峡の渦潮を跨ぐ大鳴門橋を見に行くたびに気になっていた橋を、ようやくじっくり見る機会を得た。「小鳴門橋」という1961(昭和36)年につくられた3つの主塔を持つ4径間連続吊橋だ。長大吊橋の技術が未成熟だった時代に、淡路島経由で四国と本州を結ぶルートの実現に向けて、徳島県が単独で架けたという。

写真手前のタワーは、競艇場の中からニョキッと生えている。おそらく観客席からは、ボートレースを見守りつつも、この橋をたっぷり鑑賞できるんだろうなあ。なんという贅沢な環境。さらに、この写真ではわかりにくいが、小さな島の上に設置された中央のタワーだけは、4本の鋼材を斜めに組んで強化されている。これ、めちゃくちゃかわいい。

特筆すべきは、橋の両端でケーブルを繋ぎ止めるアンカレイジの造形。現代の吊橋だと、巨大なコンクリートの塊の中に全てが埋没してしまいがちだが、ここは違う。ケーブルがスプレーサドルを経由し、ラッパ状の鋼製のカバーを介して、おもりとしてのコンクリートに吸い込まれていくプロセスが丸見えなのである。

役割が明確で剥き出しのディテールは、まさに「形態は機能に従う」を地で行く潔さ。こういう手の内を明かしてくれる素直な構造物に出会うと、なんだか背筋が伸びる思いがする。