はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ブロックノイズ的立体構成

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ダムの堤体が地山に接続する箇所は「フーチング」と呼ばれており、その様子は千差万別である。ダムの見どころはたくさんあるけれど、個人的には強く惹かれる箇所だ。覆土や緑化によってその存在を上手に隠しているものもあれば、全く無頓着で生々しいコンクリート塊が露出しているものもある。溜め込んだ水が生み出すとてつもなく巨大な力を岩盤にがっちり伝えなければならないだけに、必然的に暴力的な造形になりやすいのだろう。

八戸の世増ダムの水平垂直面で構成されたフーチングは、とても見応えがあった。岩盤が有している微細な自然の揺らぎが、解像度が落ちた人工のコンクリート塊に変換されたように見え、不思議なリズムが生まれていた。もともと美しさを意図したわけではないだろうけど、エンジニアリングから導いた一定のルールに従って丁寧に造形したことで、結果的にある種の美しさを獲得したと言えるのかもしれないね。

なお、世増は「よまさり」と読むことを、現地を訪れてはじめて知った。