今年の個人的な締めくくりは、やはり「私的ドボク大賞」で。13回目となるこの賞は、僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が感激したものを自薦して、僕が選考・表彰するという、誰の共感も求めない自作自演のアワードだ。
昨年に続いてコロナ禍の影響をモロに受け、旅行や出張の機会が極端に少なくなったことに伴いノミネート候補数は限定されているが、続けることに意味があると信じて実施する。さっそく、ノミネートされた作品を紹介しよう。数こそ少ないが、個人的な感激クオリティは例年通りだ。
[1:虎渓用水広場]
多治見駅前にある、かつての農業用水を取り込んだ公園。高低差と緑陰と水音が生み出す居心地の良さに、のんびり長居をするばかりか、青空の下でうっかり長時間のリモート会議に参加してしまった。
[2:気仙沼内湾地区防潮堤]
津波被災地における防潮堤のありようのひとつを示した事例。現地のキーパーソンにもお話を伺うことができ、見ただけではなかなかわからない背後のストーリーを知ったことも感激を高める要因となった。
[3:高田松原津波復興祈念公園]
この地には何度か行っているが、公園が整備されてからはじめて訪問し、いろんな感情が揺さぶられる空間体験を得た。極めて象徴的な空間構成でありながら、訪問者のそれぞれの想いを受け止める大きな器であるように感じた。
[4:首都圏外郭放水路]
たびたび訪れているので新たな記事はアップはしなかったが、今年も地下神殿に参拝してきた。某プロジェクトの動画の撮影に同行する形だったので、じっくりたっぷりと超絶空間を堪能することができ、大満足の体験となった。
[5:日常の絶景 知ってる街の、知らない見方]
年末に新たな本を出版した。昨年末から執筆に取り組んではいたが、集中して書いたのは今年の夏。どこにも行かず、ずっと自室に引きこもっていた。良くも悪くも、コロナ禍の影響は甚大だった。ブログやTwitterに書き散らかしていたことを客観的に振り返ることができので、とても大きな収穫になった気がする。
さて、以上の5つのノミネート作品から、グランプリを選出するよ…。
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じゃじゃーん、今年の私的ドボク大賞は『高田松原津波復興祈念公園』に決定だっ!!
ランドスケープや建築のクオリティの高さはもちろんだが、防潮堤という超ハードドボクを再解釈して取り込んだ空間の強度には、本当にしびれた。街のかさ上げの途中経過やその風景の変化を目撃していたことも受賞の背景にはあるだろう。この地は継続的に訪れようと思っている。
ということで、今年は書籍を執筆するという全力でのアウトプットがあったものの、インプットの総量が圧倒的に少ないという、極めてアンバランスな年だったが、なんとか無事に終えることができそうだ。
外出頻度の低下に伴って更新頻度もがた落ちになっているこのブログを飽きずにご覧くださっているみなさま、どうもありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。