また古いフィルム写真から。1999年にデンマークを訪れた際に、前年の1998年に完成したばかりのグレートベルト・イースト橋という長大吊橋を見に行った。中央支間長1624mは当時、数ヶ月前に完成した明石海峡大橋に次ぐ世界2位の長さを誇っていた。
現地で解説してくださった方は、施工の遅延で世界一のスパンになった期間はなかったけれど、世界一エレガントな橋になったと言っていた。その言葉には納得がいく。上方にスッと伸びて下方にどっしりと構えたコンクリート主塔のフォルム、三角の空隙が空けられた海上のアンカレイジ、内部に腐食防止のための除湿装置が仕込まれた逆台形断面の鋼桁、天端に点検歩廊がスッキリ収められたアプローチ部の橋脚群など、ため息が出るほど上手くまとめられ、視界が開けた伸びやかな架橋環境に調和した橋梁景観が生まれていたという印象がある。
あれから20年以上が経過した今は、どのようになっているのか、見に行きたいねえ。