はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2016-01-01から1年間の記事一覧

土木展

六本木ミッドタウンにあるデザインミュージアム「21_21 DESIGN SIGHT」にて、ついに『土木展』が本日からはじまった。昨日行われた内覧会にて、素晴らしい内容に仕上げられていることを、この目で確認することができた。土木に興味がある人から興味がない人…

縄文式体育館

秋田のびっくり建築「秋田市立体育館(愛称:CNAアリーナ★あきた)」の続き。外部も内部もクセが強すぎて、あっという間に感覚が麻痺していく気分を味わった。これは、バーゼル近郊の第2ゲーテアヌムで体験した感覚に近いかもしれない。質的には大きく異な…

透かしブロックの用例

『街角図鑑』の「透かしブロック」の項を眺めていて、建築材料として盛大に用いている例をふと思い出した。秋田市立体育館(愛称:CNAアリーナ★あきた)のエントランスホール部だ。 階段や通路の側壁に、「松」と呼ばれている透かしブロックがみっちり配置さ…

国境を越える過剰な橋

マルク・ミムラムがデザインした、歩行者と自転車のための「Passerelle des Deux Rives」という斜張橋。直訳すると「両岸をつなぐ歩道橋」というストレートで当然な意味になっちゃう。まあこれは、ライン川の両岸にあるフランスのストラスブールとドイツのケ…

スイスダムツアー

【本ツアーは中止となりました。。。残念!!(追記:6月30日)】 お知らせのタイミングが少し遅くなってしまったが、素晴らしいツアーが行われようとしている。その名もずばり、『スイスダムツアー(JTBのチラシのpdf)』だ。もちろん監修は『ヨーロッパの…

がんばれ橋脚

先日、ものすごく無理しつつも必至に桁を支えている橋脚を、新宿で見た。これほど見た目に限界付近で耐えていることが理解できる橋脚は珍しいので、どうしたって応援したくなるよねえ。そんなことを一緒に歩いていた方々に興奮しながら伝えたのだが、あまり…

一周年、そして「土木展」

おかげさまで『ヨーロッパのドボクを見に行こう』は、発売から一周年。日頃のご愛顧、まことにありがとうございます。未見の方は、ぜひともお手にとっていただき、欧州の素晴らしいドボクの数々を、無駄にハイテンションな解説でお楽しみいただけると幸いで…

ミムラムのアーチ

ル・アーヴルの写真を見返していたときに、マルク・ミムラムがデザインしたプレキャスト・コンクリートの連続アーチ橋の存在を思い出した。ノルマンディー橋のアプローチ部分にあたる高架橋だ。アーチリブのリズミカルな連続感、スパンドレルの微妙なカーブ…

火山的建造物

フランスのル・アーヴルという街には、5年前に「ノルマンディー橋」を見るために宿泊地として立ち寄った。鉄筋コンクリートの団地が建ち並ぶこの街自体が世界遺産に登録されていることは耳にしていたが、それほど期待も予習もしていなかった。ところがとてつ…

雨水のリズム

これほどの水汚れはなかなかお目にかかれない。下見板のように断面が斜めになっている塀の上に載せられた瓦を伝った水滴が、長い時間をかけてリズミカルで柔らかい文様を描いている。水平方向の段差によるシャープな陰影とのコントラストがいいね。富山県氷…

水が描いた縞模様

札幌で見かけた微妙にゆるい縞模様が描かれた壁面。線路をくぐるトンネルにアクセスするスロープなんだけど、おそらく設計者は意図していない模様だろう。 この擁壁の外側はレンガ風タイルによって化粧されており、結構な厚さの天端にも同じ素材がみっちり貼…

美麗トンネル写真集

日常的に通っている地下鉄のトンネルなどの様子を、日常とは思えない過激さを伴う幻想的な風景に仕立て上げた写真集『軌道回廊』(徳川弘樹、実業之日本社、2,800円+税、B5判104ページ)が出版された。 それぞれの写真に描かれている情報密度の高さ、完全人…

インテグレーション

先週はローラン・ネイの話を直接伺う機会がいくつもあった。その中で彼は、随所に「インテグレーション」という言葉をちりばめていた。前回に引き続いて、再びアムステルダムのフルハトハーフェン橋(Vluchthavenbrug、2012)を眺めることで、彼の「インテグ…

講演会雑感

先週の土曜日は、写真家の柴田敏雄氏と構造デザイナーのローラン・ネイ氏の対談講演会を聴講した。品川のキヤノンギャラリーで開催されていた写真展「Bridge」に関連したものだ。 講演の内容から察するに、柴田氏は請け負い仕事を滅多にしないようだけど、ネ…

建築の変態本

またしてもステキな建築写真集を手に入れたので、取り急ぎメモを残しておく。変態(アブノーマル)ではなく、変態(トランスフォームやメタモルフォーゼ)の話。 この写真集に登場する近代建築物は、シェルター、キオスク、戸建て住宅、教会、団地、高層ビル…

中央構造線上砂防

ふとしたことをきっかけに、何年か前にどこかの山の中を走行していたら、不意に目の前に荒涼とした風景が広がり驚いたことを思い出した。その時すぐに車を止めて砂防堰堤の写真を撮った気がしたので、つたない記憶をよろよろ辿り、ようやく見つけた。 少し調…

かわいいドボクサイン

先月末に行われた『土木展』のミーティングで、メイングラフィックを担当されている柿木原さんのプレゼンで、ポスターの中に描かれている「土木の行為」のアイコンも解説してくださった。その時に会場から「かわいい」という声がチラホラ聞こえてきた。そう…

再生煙突

ロンドンを訪れている大山顕さんのツイートにより、驚愕の情報がもたらされた。長い間放置されていた有名な都市内廃墟物件の「バタシー発電所」の4本煙突のうち3本がなくなっているというのだ。ちなみに上の写真は、2011年の放置状態の様子。 バタシー発電所…

近代石橋

スイスのヴァルス村の中央に架かるヴァルサーライン橋(Valserrheinbrückeか?)も、先日のグレンナー橋と同じユルグ・コンツェットが設計した橋であり、2010年に供用された。 見るからにユニークな橋だ。両サイドに縦方向に積層された石材が重要な構造部材…

近代木橋

構造形式自体は伝統的なものだが、現代的にクールにアレンジされたスイスの木製方杖ラーメン橋。例によって正式名称がよくわからない(Glennerbrückeか?)ので、とりあえずここではグレンナー橋としておこう。ユルグ・コンツェットの設計で、2002年につくら…

知らない街の有名物件

数ヶ月前、ほとんど訪れたことのない高崎へ出張に行った際、数時間ほど自由になったので、中心市街地を散策することにした。事前に予備知識を仕入れる時間が全く確保できなかったのだが、その瞬間の勘を頼りに徘徊して、有名建築家による駐車場に出会ったり…

日常の風景が変わる『街角図鑑』

待望の路上観察指南書が、ついに出版される。三土たつお編著『街角図鑑』(実業之日本社)だ。なんと僕も寄稿させていただいたので、発売前に見本誌を手にすることができた。なんとも役得だね。 黄色い帯には「路上観察の新たな地平」「街角デザインが読み解…

三国国境

なんともビシッとしていない石碑を境に、左奥がオランダ、右の林がドイツ、手前がベルギーに分かれている。「B」の文字が見えることがその証左。「1032」の意味は知らないが、見えない側にはやはり素っ気なく「NL」「D」と書かれているよ。なお、写真左奥に…

九州の地震

現在も九州を襲っている一連の地震により被災されているみなさま、心よりお見舞い申し上げます。救出活動や緊急復旧に尽力されているみなさま、ご活躍をお祈りするとともに、ご自身のお体も十分に気遣ってくださるようお願い申し上げます。なかなか収束に向…

道路複合物件

僕のツイッターのタイムラインにはこのところ、先日オープンした駅上超高密度バスターミナル「バスタ新宿」の情報が各方面から多数書き込まれている。僕も早く見に行きたくなってウズウズしているのだけど、しばらくは目の前の仕事から抜け出せそうにないん…

橋の写真

ひとつ前の記事で、オランダのナイメーヘンに架かる橋「De Oversteek」の写真を取り上げた。柴田敏雄氏の写真展に感化されて、自分の写真もそれっぽくならないかあと思い、構造的な特徴を持つ部分をクローズアップして構図のバランスを再検討してみたり、ド…

写真家と構造デザイナー

先日、品川で行われている柴田敏雄の写真展「Bridge」に行ってきた。被写体は、このブログでもたびたび取り上げているローラン・ネイが手がけた橋梁だ。本当に素晴らしい写真展なので、みんな行ったらいいと思う。以前から個人的に、ネイの橋は写真に撮りに…

流体表現の女王

あのザハ・ハディドが急逝した。65歳という若さ、押し出しの強い風貌、ザハ建築が世界中でじゃんじゃん建設されている状況なので、まったく想像していなかっただけに、絶句した。そして、残念でならない。 ローマの国立21世紀美術館(MAXXI)では、エントラ…

リプレイス

道路照明を説明するための写真が必要になったので、もやし柱と高圧ナトリウムランプのセットの写真を撮ろうとして、帰宅時にレンズを向けてファインダーを覗いた。ところが、なんだか様子がおかしい。灯具が妙に薄いのだ。光源も複数個見えるし。 よくよく見…

お店で買えないアレ

数年前に大学の授業で、「コンシューマー向けではない工業製品をひとつ選び、それをしっかり調べてデザインの切り口からまとめよ」というレポート課題を出したことがある。タイトルは「お店で買えないアレ」。中には面白い題材や切り口を見つけてくる学生も…