はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2017-01-01から1年間の記事一覧

雨中の大型新人

先月の熊本旅行では、三角ノ瀬戸を跨ぐ「新天門橋」(仮称)の仮設現場を見に行った。鋼中路アーチ構造とPCラーメン構造を複合させた、とてもかっこよくなりそうな長大橋だ。 完成はアーチリブをつくるための斜吊タワーとケーブルクレーンタワー、架設が済ん…

南国の空中歩廊

今年の年始に行った2度目のシンガポールでは、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの上空に架かる吊橋「スカイウォーク」を体験することができた。前回は意気込んで現地まで行ったのに、風雨のため直前で閉鎖されてしまったため、ようやく念願が叶ったことになる。 …

まちの記憶の更新

熊本市役所のすぐ近くのアーケード街にひょっこり姿を現した「ダンメン」が、たいへん見事で感激した。通行人の多い繁華街だったので視線が若干気になったんだけど、しばらく佇んでじっくり鑑賞せざるを得ない迫力だった。 建設以来はじめて露出したであろう…

清正への挑戦

熊本地震の直前に放送されたブラタモリに登場した「鼻ぐり井手」を見に行った。1608(慶長13)年、新田開発のために加藤清正がつくったとされる農業用水路の施設であり、穴の空いたフライングバットレスのような壁が連続しているものだ。水路を流れる水に渦…

クレーン・フェス

市電に乗って熊本の交通センター(バスターミナル)の脇を通ったところ、あたかも熱気に包まれたフェスが行われていると錯覚するほど、数多くのクレーンやパイルドライバがじゃんじゃん稼働していた。そりゃもう、かっこよさにしびれるよねえ。その時は別の…

ドーナツターミナル

ヨーロッパの玄関口のひとつ、パリのシャルルドゴール空港はなにかとチャレンジング。1974年の開港から一貫してポール・アンドリューという土木出身の建築家が手がけており、それぞれ特徴があるターミナルを年代を追って楽しむことができる。 その中でも最も…

ステキ階段

建築空間において、階段はたいへん魅力的な存在だよねえ。表情豊かな造形という点でも、移動による視点の変化でも、昇降するという意味においても。もちろん、建築家はそれを強く意識しながら、腕の見せ所と言わんばかりに力が入りまくるのだろう。チューリ…

コロッセオ

大橋ジャンクションのループの内側は、首都高の管理施設や換気塔の他に、目黒区が管理している「オーパス夢ひろば」という多目的スペースがある。4層ループの巨大な壁面に囲まれているだけに、アーチダムの下流面も似た、とても魅力的な空間が形成されている…

空中庭園

大橋ジャンクションは施工時に3度ほど見学させていただいたのだが、完成後にじっくり見たのは本日が最初。正確には先月はじめにチラリと下見したんだけど。このジャンクション、道路とその付帯設備の他に、2つの高層ビルの中に住居の他にも商業施設、事務所…

現地に行ってみよう

6年前の巨大地震をきっかけに、福島第一原子力発電所の事故が起きた。メルトダウンや放射性物質の拡散というきわめて深刻な事態が引き起こされ、刻々と状況は変化しているものの、いまだに収束していない。そうしたことから、多くの人が「恐怖心」「不信感…

祭壇駐車場

墨田区北部には興味深い物件がごろごろ転がっている。その数があまりにも多く、時間あたりの距離が極めて短いことになってしまうので、まち歩きをする際には注意を要する。 この駐車場の路面標示は、妄想をかき立てられる。おそらく4つのマスを埋めると、何…

大大阪の気概

10年前に撮った地下鉄御堂筋線の淀屋橋の写真が出てきた。梅田駅と心斎橋駅も同様なんだけど、ヨーロッパの地下鉄によくある空間構成で、ドーム状の天井が特徴になっている。見通しが良く広々としていて、地下鉄駅ホームにありがちな圧迫感がほとんどない。…

鋳物とコンクリートと竹

昨日は墨田区北部を歩き回った。このエリアの探索は何度目になるかわからないが、訪問するたびに新鮮な発見が得られる。生活者が街の主役として直接的に介入している様相は、たまらない魅力を感じる。この人の手の存在が感じられる「下町感」とも言える独特…

巨大な箱

横浜の運河沿いの倉庫の壁面には、窓が一切なく、換気口がたくさん設けられている。その眺めはヒューマンスケールを確実に逸脱しており、そこが魅力のひとつと言えなくもない。 先週、不幸にも三芳で発生してしまった大規模倉庫火災は、鎮火に6日もかかった…

街の記憶

1ヶ月ほど前だったろうか。自宅の最寄駅のロータリーに隣接した一角が更地になっていた。生命保険の会社のビルだったと思うのだが、どんなビルだったか全く憶えていない。 日本において、多くの人に利用されている駅前の風景は、更新し続けているように思う…

構造の理解の仕方

多少なりとも橋梁設計に触れていた身からすると、映画や漫画の世界に登場する橋にびっくりすることがある。例えば、メインケーブルが切断されているのに全体が崩落しない吊橋、中央の橋脚によってやじろべえのようにバランスを保っているアーチ橋、橋脚なし…

ダム前の橋

カリフォルニア州のオロビル・ダムの非常用洪水吐きに大きな穴が発生し、さらなる大きな災害に備えるために大規模な避難命令が出されたことが報じられた。甚大な被害をもたらしかねないダム災害に思いを馳せていたところ、イタリア北部のヴァイオント・ダム…

海上交差点

熊本県の牛深ハイヤ大橋は、見どころ満載のかっこいい桁橋。そもそもの必要性云々はさておき、道路線形からディテールに至るまでのトータルデザインのクオリティはとてつもなく高い。 橋梁が描くきれいなラインの中にポツンとある信号機付き丁字路交差点は、…

ガンタ積み

昨年の夏に六本木でチラリと見た衝撃的な擁壁を、あらためてじっくり見に行ってきた。「再利用」されている材料は多種多様であり、そのサイズや形態もバラバラのため、極めてカオスな擁壁面になっている。そこには、凝灰岩、花崗岩、安山岩などの自然石、レ…

高級桟橋滑走路

先日羽田空港のA滑走路に着陸した際に、D滑走路のジャケット工法を説明しやすい写真を撮ることができた。東京湾に突き出したD滑走路の南西側半分は、周辺環境への負荷をかけないために、多摩川の流れを遮らない桟橋形式が採用されている。そりゃもちろん…

琵琶湖の水

日本の古都・京都には、1890(明治23)年につくられた琵琶湖の水を市内に運ぶための壮大な規模の水路があり、今も現役の施設として市民生活の中に溶け込んでいる。明治維新によって首都機能が東京に移ったことで、当時の京都は著しく衰退しはじめていた。そ…

拡大する社会のインフラ

10年前に撮った瀬戸大橋の写真を引っ張り出す用事があったので、海を渡るってことを振り返ってみた。 20世紀後半のおよそ50年間、日本の国土開発は「国土の均衡ある発展」をキャッチフレーズとして、経済成長を前提とする量的拡大が行われてきた。それを考え…

楽しいラジオ

本日の午後、TBSラジオの名物番組『たまむすび』の「おもしろい大人」というコーナーに出演させていただいた。なんと、赤江珠緒さんとピエール瀧さんとお話をしたのだ。その25分間はとても楽しい時間だったのだが、やはり緊張と興奮が激しかったようで、放送…

ドリアンのパターン

総合芸術文化施設のエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイは、その特異な見た目から「ドリアン」と呼ばれている。ドームの表面が三角錐のような形状の日よけで構成されているのだけど、これがたいへん刺激的であり、抵抗感がある人はたくさんいそうだ…

バズる室外機

たびたびツイッターなどで室外機について触れているが、まさか1万リツイートを越えるとは予想もしていなかった。5日前にシンガポールで見た、ショップハウスの裏にみっちり貼り付いた室外機群が突然バズったのだ。たしかに、現代的な高層ビル群の背景と、野…

抜け殻になったコンテナターミナル

タンジョン・パガー・コンテナ・ターミナルのあの感動を再び味わいたくて、2年半ぶりにシンガポールを訪れている。そのターミナルを一望できる高層高級住宅を訪問したのだが、窓の外を見るなり腰が抜けた。なんと、広大な敷地がほぼ空っぽなのだ。色とりどり…

ジェンガ住宅

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 今年はシンガポールからスタートを切っている。知り合いを頼って冬期休業期間中に総戸数が1000を越える巨大HDB(公団住宅)の「インターレース」に潜入させてもらえる段取りをしていたら、元…