9月に再訪した立山カルデラでは、昨年行くことができなかった白岩砂防堰堤右岸側の岩盤を補強する対策工を見学させていただいた。これがまたすごかった。行き止まりのトンネルと、その壁面にボツボツ突き出したアンカーヘッドが生み出す、あまりにも迫力のある異質な眺めにびっくりした。
立山砂防の要をなす岩盤の表層部が少々もろくなってきたために、崩壊を引き起こす前に補強する必要があったが、急峻な崖の表面を工事するにはそのあまりにも困難だった。そこで、わざわざ岩盤の裏側にトンネルを掘り、外側に向けてアンカーとケーブルボルトを打ち込んで、表層を引っ張ることにしたのだという。アンカーの定着部はセメントミルクが表面に露出して白岩砂防堰堤周辺の景観を変えないように工夫されているのだそうな。
ここまでやるのかというほどのスケール。立山砂防の本気が、ここにも現れている。トンネルの断面がやたらと大きい理由を訪ねてみると、アンカーを打ち込むための機材の大きさで決まっているとのこと。なるほど、難工事であるがゆえのゴージャスさなのだなあと納得した。きっとトンネルを水谷平からの資材運搬などにも利用できるような、将来対応も見越しているのだろうけど。