はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2014-01-01から1年間の記事一覧

吊られるクレーン

先週訪問したシンガポールでの見聞を少しでもまとめなければならないのに、別のネタを書いちゃおう。 昨晩、聞き捨てならない情報を入手してしまった。昨日の日曜日、自宅から20分程度で行くことができる千葉港で、フローティングクレーン(起重機船)が新品…

コンテナビューホテル

シンガポールに来た最大の理由は、いまや世界の物流の核になったシンガポール港のコンテナターミナルを見ることである。来訪するまでにどこからどう見えるのかをいろいろと調べると、昨年末にオープンしたばかりの「The Westin Singapore」が急浮上した。僕…

バックヤード通り

前の職場の元同僚に誘われて、遅い夏休みをシンガポールで過ごすことにした。シンガポールと言えば世界の物流の要であり、元同僚にはその点を推されたのだ。このため、コンテナターミナルの眺めをいかに楽しむかをテーマに旅行プランを組み立てていた。 とこ…

愛せない橋

オランダには、かっこいいのかかっこわるいのかわからないのに、妙に引かれるデザインがたくさんある。つまり、自分の中にある「ものさし」で図ることができない価値を、混乱とともに突きつけられるのだ。それを繰り返していくと、自分の中の「ものさし」が…

耐震補強様式

これまでにもいくつか取り上げてきた(モダニズム神社、デパートの裏側、巨大ミニチュア)ように、福井市内には魅力的な物件が多く存在しているという印象がある。上記物件もその中のひとつ。 ここまでやれば、「耐震補強様式」という独立したスタイルとして…

大仏アテ

我が家のある千葉市から水戸やつくば方面に車で向かう時は、今のところルート選定が少々悩ましい。首都高を経由して常磐道で向かうのが一番効率的ではあるが、渋滞に巻き込まれるリスクがつきまとう。国道16号で柏に行き、そこから常磐道に乗るというのが距…

近代日本が生まれた穴

昨日はとてつもなく魅力的な現場を見学させていただいた。それは、茨城県笠間市にある高級御影石「稲田石」の採掘現場。昨日に至るまで、台風の影響で2度ほど見送らざるを得なかっただけに、感激もひとしおである。暑さなどはすっかり忘れて長時間にわたり…

モダニズム神社

先月、福井に出張したときのこと。とある寄合に出席していたところ、知人に福井神社にはもう行ったよねと、スマホの写真を見せられながら問われた。これは見ておかねばならない物件だよなあと思い、大いに悩んだ末に寄合を中座して現地に急行した。 この神社…

富山のインフラツーリズム

昨年度の後半にお手伝いさせていただいた富山における「インフラツーリズム」が、富山県と土木学会中部支部の共同主催により、いよいよ実現することとなった。富山県土木部のみなさまを中心とした関係者の方々の熱意とご尽力に、心から敬意を表したい。 「と…

選手交代

先日、炎天下で都内の下町のフィールドワークをしていたところ、メインで使用していたカメラが突然お亡くなりになった。シャッターを切ったとたんフリーズし、電源を切っても、電池を抜き差ししても、叩いても、どうにもならなくなったのだ。この壊れ方から…

高架下建築の行方

先週末、久しぶりに浅草橋近辺の総武線高架橋を見に行ったところ、衝撃が走った。珠玉の名品とも言えるピンクの高架下建築(土木と建築の融合)が取り壊されていたのである。こういう事態は想定していたとは言え、やはり現実を目の当たりにすると落胆してし…

欧州鉄塔

本日の打合せの最中、相手の方が「日本にはそこら中に送電鉄塔があって残念」とおっしゃったので、「いやいや欧州にもたくさんありまっせ」と言いつつ、スイスアルプスのグリムゼル峠(アルプス越え)をがんばって乗り越える送電鉄塔たちの写真を見せた。す…

コンバイン砂防堰堤

立山カルデラの出口を守る白岩堰堤は、右岸側が越流部を持つ重力式コンクリートダム、中央部が非越流部を持つ重力式コンクリートダム、左岸側がアースダムで構成された、いわゆる複合構造の「コンバインダム」である。地形地質の特徴に合わせつつも経済的合…

砂防の聖地

先月の中頃に訪問した立山カルデラのハイライトのひとつは、文句なしにカルデラ出口の狭隘な谷の要である「白岩堰堤」だ。本気で世界遺産にすべき人類の叡智の結晶だよ。すでに重要文化財には指定されているけどね。もちろん、観光地化するわけにはいかない…

緑の崩壊面

立山カルデラの見学の際に車で移動していたとき、真川の向こう岸に妙な斜面が見えたので、車を止めていただいた。表面はとげとげしいのに、均一な緑に覆われているという、極めて不自然な眺めだ。まさかしばらく前に話題になった、岩山を緑色のペンキで塗装…

モニタリング触手

昨年の夏、奥利根のダムを一気に巡るツアー(参照:ある少年の夏の日)を行った。その際、滅多なことでは立ち入ることができない場所を、水資源機構の方々にご案内いただいた。矢木沢ダムの堤体直下にも潜入し、圧倒的なコンクリートアーチを下から見上げる…

デパートの裏側

デパートなどの集客力がある大きな建物の裏にある避難階段が面白く感じるようになってきた。もちろん過去の写真を振り返ってみても、様々な階段に興味を持って撮ってきたことは間違いないのだが、旧木更津そごうの避難階段(反復階段)を見てからは、はっき…

地底湖クルーズツアー

「OHYA UNDEGROUND 〜大谷地底探検と里山ハイキング〜」というツアーに参加した。これがもう、なにからなにまで素晴らしいツアーだった。これまで数多くの産業観光系ツアーに参加し、時には企画のお手伝いもしてきた僕からしても、このツアーの質感の高さは…

巨大ミニチュア

先週、福井を訪問する機会があった。高校生のときに修学旅行で永平寺や東尋坊に行って以来のことだった。申し訳ないことに、福井にはほとんどイメージがなかったのだが、なかなか興味深い街だった。 中でも一番気になったことは「歴史」に対する執着心。石垣…

自然に取り込まれる

立山カルデラの奥の方にある最新の砂防堰堤の少し手前に、1938(昭和13)年につくられたという老堰堤があった。「泥谷」という沢を跨ぐ橋梁から、堤体の下流面を見ることができた。越流部に見えるコンクリートのテクスチャーからして、尋常ではない風格が漂…

山奥にある幻の村

明治の頃から脈々と続けられている立山カルデラの砂防事業は、あまりにも雪が多い日本アルプスの山頂付近が現場であるため、6月から11月までの半年間しか工事を行うことができない。現地を案内してくださった方は「100年の現場だけど、50年分しかやっていな…

崩れた土砂の崩れ

たいへんありがたいことに、滅多なことでは立ち入ることができない日本アルプスの巨大スリバチ「立山カルデラ」に潜入させていただいた。このエリアは関係者以外立入禁止のうえ、11月から5月は雪に閉ざされてしまう超ハードな防災最前線の現場なのだ。一般人…

テトラ愛

富山地方鉄道本線の中滑川(なかなめりかわ)駅前には衝撃的なオブジェが設置されている。上端には水が噴き出す仕掛けが設置され、全体が白く塗られ、脚部にはそれぞれホタルイカらしきファンシーなイラストが施されたテトラポッドが鎮座しているのだ。 この…

海岸を守る円弧

最近知り合った富山に住む友人に勧められて、生地(いくじ)という街を訪問した。彼は「まず、海に向かいなさい」とまるでお告げのように言っていた。その通りに延々と下新川海岸に向かって歩いた結果、びっくり構造物を拝むことになった。お告げは正しかっ…

曲がった電柱

旭川の繁華街では、ぐにゃりと曲がった形状の電柱が列をなしている風景を見ることができる。おそらく何らかの理由で建物との近接を避け、かつ、道路幅員を確保するために、苦肉の策として生み出された不遇の電柱群なのだろう。旭川に来るたびに、飲み屋に行…

トンネルの外皮

トンネルを通るとき、そこは「内部空間」であると認識すると思うけど、それは正しいのだろうか。「内部」があるということは、「外部」があるはずなので。むしろ大地の「外部」なんじゃないか。 なんてことを考えて、わけがわからなくなり、どうでもよくなる…

ランドアート防風板

3年前のオランダ在住時に、うっかり見に行き忘れてしまった重要施設があり、そのことが夜も眠れないほどに悔しかったので、今年のお正月に行ってきた。ロッテルダムの西方にある「ローゼンブルク・ウインド・ウォール」だ。かつて鹿島出版会から発刊されて…

インフラツーリズム情報誌

昨年の秋から頻繁に富山を訪れるようになった。「インフラツーリズム」という新しいコンセプトに基づいて、富山土木を観光対象として扱ってみようというプロジェクトに参加していたためだ。ちなみに上の写真は堀込み式港湾である富山新港の湾港に架かる新湊…

道に迷って炭鉱に着く

世界遺産にもなってるドイツのフェルクリンゲン製鉄所を見に行った帰りに、うっかり道に迷ってしまった。全く意図せず、フランスに迷い込んでしまったのだ。そして、妙に狭くて荒廃した道を通る羽目に陥り、心底びびった。そこからチラリと見えたのが、上の…

軽いアーチ

今年の正月に強行したオランダ紀行では、ナイメーヘンという街に一泊した。翌朝はとりあえずこの街のシンボル的橋梁であるWaalbrugを見に行ったのだが、その近くに架かっている歩道橋を目ざとく見つけ、思わず駆け寄った。 ワンスパンのアーチリブに階段が設…