はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

橋梁

先駆け吊橋

鳴門海峡の渦潮を跨ぐ大鳴門橋を見に行くたびに気になっていた橋を、ようやくじっくり見る機会を得た。「小鳴門橋」という1961(昭和36)年につくられた3つの主塔を持つ4径間連続吊橋だ。長大吊橋の技術が未成熟だった時代に、淡路島経由で四国と本州を結…

ドボクの広報

建設コンサルタントで働いていた頃から、ずっとモヤモヤ抱えていたこと。それは、これほどまでに社会的意義があり、巨大な知性が集積された仕事が、なぜこうも世間様から叩かれなければならないのか、ってこと。 まあ、わからなくもない。人の命や財産が直接…

プリントされた橋

9月のオランダ旅行に際して、せっかくナイメーヘンに行くのであれば、噂に聞いていた3Dプリンタでつくられたコンクリート橋もついでに見に行こうと思い立った。なかなか場所が特定できずに諦めかけていたが、なんとか郊外の団地に隣接する公園に架けられて…

空から見る海上道路

9月のオランダ旅行は、香港経由便で行ってきた。なぜかというと、直行便の約半額だったからに他ならない。昨今の航空券が高額な理由は、止まらない円安、世界的なインフレ、燃料費の高騰、コロナ後の需要回復、人手不足などだろう。その上、戦争に伴いロシア…

曲面の違和感

オランダ最古の都市のひとつと言われるナイメーヘンは、スイスアルプスに端を発してドイツを流れるライン川が分岐したワール川のほとりにある。平地が少ない島国の日本の感覚では少々捉えにくいのだけど、大きな船舶が頻繁に行き交う河床勾配が緩やかな国際…

人工自然河川空間

極めて充実したオランダ旅行から戻り、ウキウキした気分で日常を過ごしているつもりではいるのだが、よく考えると忙しい状況。そこそこの期間を空けていたために仕事が溜まっていたことや、職場である大学の授業が再開したことが要因だよね。まあ予想はして…

華やかな舞台

今朝から大阪を訪れている友人と仕事のやりとりしてる中で、新幹線の車窓から見えたちょっと変わった斜張橋を調べてみたよ!という連絡を受けた。小田原漁港に架かる「小田原ブルーウェイブリッジ」なのか、浜名湖に架かる「サンマリンブリッジ」なのか、な…

黄緑色の宇宙怪獣

昨年から何度か神戸を訪れているが、まだポートライナーには乗っていない。しかし、何度もその桁を見上げている。特に三宮駅付近で3つに分裂しながらダイナミックな曲線を描くキングギドラのような迫力には、毎回感激している。 1981年に開業した新交通シス…

鉄筋コンクリートの求道者

昨日、ロベール・マイヤールというスイスの高名な構造エンジニアについて捉え直す機会があった。鉄筋コンクリート構造を探究し、あのサルギナトーベル橋を設計したエンジニアだ。過去にマイヤールのアーチ橋をいくつも見て回ったので、その写真をピックアッ…

謎の石鋼ハイブリッド橋

先月の熊本訪問では、通潤橋や霊台橋などの名だたる石橋を手がけた「種山石工」または「肥後石工」と呼ばれる技術者集団のふるさとである八代市東陽町を訪れて、いくつかの石橋を見て回った。八代市の石橋で最も新しいとされている、1929(昭和4)年に架けら…

橋の風景を読む

2016年4月に発生した熊本地震で、黒川を跨ぐ逆ランガー橋の「阿蘇大橋」が崩落した。当時のニュース映像を見て、愕然とした記憶がある。橋が落ちるということは、心理的ダメージが特別に大きいんだよね、かつて橋の設計に携わっていた身として。 その理由は…

高濃度土木

問題ってのは、一箇所に集中しやすいよね。穴や亀裂などの弱点に局所的な負荷がかかる「応力集中」とか、人口密度や行政機能や経済活動が特定の場所に過度に凝縮する「一極集中」とか、特定の知識や能力を持つ人に業務が集中する「属人化」とか。そんなこと…

国の宝になった石橋

熊本県山都町の国宝・通潤橋を再訪した。今回はずいぶんと長い時間この場にとどまり、さまざまな場所から橋と水路を堪能し、有名な放水も眺めることができた。 そしてなにより、数多くの地元の方々に出会い、さまざまなお話を伺うことができた。たとえば、通…

少し前の釜山郊外

30年前の今日は、忌々しい地下鉄サリン事件が起こった日。その時の僕は、就職先の札幌で暮らす準備をしていたのだろうが、具体的になにをしていたのかは憶えていない。 仕方ないので20年前の今日は、僕は何をやっていたのかなと写真フォルダを遡ってみると、…

海食崖を越える橋

都心と千葉を結ぶ重要な道路である国道14号。習志野市と千葉市の区間の大部分は、かつて海岸線だった。つまり南西側の広大なエリアは、遠浅の海を埋め立てた人工の土地なわけだ。 地図を見れば一目瞭然だが、国道14号の両側は街の骨格がまったく異なっている…

認識を揺さぶる橋

ゆがんだアーチ橋を何年か前に三陸沿岸道路で見たなあという記憶がよみがえり、確認してみた。比較的あっさり、鳴瀬奥松島大橋というバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋であることがわかった。道路が河川と斜めに交差する場合、2面のアーチの位置が前…

大陸の海の道

今年の元日はマカオから日本に帰国した。でも、マカオ国際空港ではなく、香港国際空港を飛び立つ便で。というのも、中国の特別行政区である香港とマカオ、そして中国本土の珠海市を結ぶメガストラクチャーの「港珠澳大橋」を、バスで通行する体験をしたかっ…

北欧の埠頭の橋

フィンランドのヘルシンキとエストニアのタリンは、2時間強のフェリーで結ばれている。ヘルシンキの玄関口となるウエストターミナル2は、ガラスと木材がふんだんに使われた北欧らしさに溢れる素敵な建物だ。それ以上に、トラムから見えた近くの真新しい橋…

高架橋再発見

無性に知らない土地を散歩したくなり、用務より少し早めのスケジュールで福岡に到着した。いわゆる前乗りというやつだね。もう日が暮れかけていたが、あてもなく足が向くままにホテルの近くを彷徨った。このような体験をする時間を強制的に確保することは、…

かわいい水路橋

不毛の大地だった郡山の安積原野を、猪苗代湖から引いた水で潤した明治の大事業・安積疏水。日本三大疏水のひとつに数えられているね。終戦後には悪化していた食糧事情を改善するために、農地のさらなる拡大を図る新安積疏水の事業が進められた。 その仕上げ…

誰も見ないデザイン

湯西川ダムによる湯西川湖の最上流部に、「仲内大橋」というPCラーメン橋がひっそりと架かっている。小判型橋脚とウェブが少し斜めになった桁の剛結部のおさまり、桁の下端が描く伸びやかなライン、橋脚の型枠の割り付け、シンプルな橋面工など、なかなか素…

圧倒的スケール

あこがれの明石海峡大橋をしっかり体験したのは、実ははじめてである。いつか見に行かねばと思い続け、いつでも行けると思い続け、でもまだまだ自分なんてと思い続け、はや四半世紀。このたび本四高速での講演の機会をいただいたことで、先月の瀬戸大橋に続…

夢の特別体験

今月初頭、瀬戸内海をまたぐ本州四国連絡橋の児島・坂出ルートを、さまざまな場所や角度から堪能してきた。上の写真は北備讃瀬戸大橋の塔頂からの眺め。大学生の頃にはじめて訪れてから約30年、夢が叶った瞬間だ。なにしろこれらの長大橋梁群のデザインは僕…

アーチ三兄弟

今年の夏は、福島県を中心にダムや疎水や橋などを車で巡るドボクツアーを強行した。これほど一気にドボク成分をたっぷり味わったのは、いつ以来だろうか。高温高湿度のためか日頃の運動不足のためか単純な体力の衰えのためか、毎晩グッタリして早寝遅起きを…

鉄道史の断片

群馬県と長野県の境にある碓氷峠は、古来より東日本と中日本の交通の要衝であり、難所だった。鉄道の整備においても、早期から日本の東西を結びつけて殖産進行を図るための国家プロジェクトとして、東海道線と並んで検討されてきたが、この地形に難儀してい…

国宝橋

たいへんめでたいことに、熊本県山都町に架かる国内最大級の石造アーチ橋である「通潤橋」が先日、国の文化審議会で国宝に指定するよう答申された。橋を含む土木構造物が国宝に指定されるのは、はじめてのことだという。そうか、これまで土木構造物は国の宝…

新幹線の代替策

渦潮で有名な鳴門海峡を跨いで淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋は、1985(昭和60)年に開通した長大吊橋だ。当初は本州と四国を結ぶ新幹線が計画されていたことから、大鳴門橋の補剛桁の中央部は新幹線が通れる設計になっているという。その後いろいろとあったの…

干潟の上の橋

吉野川の河口付近には、多様な生物相を育み水質浄化にも寄与する干潟がある。その上空を跨ぐように、市内の渋滞緩和を主目的とする「阿波しらさぎ大橋」が2012年に架けられた。その立地特性から干潟の環境に配慮した構造物とすることが求められ、斜張橋とケ…

山奥の名橋

世界的に高い評価を得ている橋が、徳島県の山奥にある。2004年に完成した「青雲橋」という曲弦トラス橋の一種で、橋長97m、幅員5m、水面からの高さ約40mの車道橋である。fib(国際構造コンクリート連合)が2006年の最優秀賞に選定したことを記念するプレート…

吊橋改アーチ橋

ひょんなことから「とくしま橋[はし]ものがたり」という、吉野川に架かる橋について記述された本をいただいた。そして、そこに掲載されていた三好橋という橋に目を奪われ、早速訪問することにした。なにしろ、もともと輝かしい吊橋だったのに現在はアーチ…