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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

遺跡の見せ方

夏のアルプスツアーの目的のひとつに、Marte.Marte Architektenによる橋があった。調べているうちに、どうやらローマ時代の遺跡を絡めた「Freilichtmuseum Römervilla」なる耐候性鋼板でつくられたモニュメントがヒットしたので、ついでに見に行ってきた。こ…

世界遺産のお手入れ

地域を代表する産業遺産の保存活用は基本的に大賛成なので、先人たちの努力によって維持されてきた富岡製糸場には大きな興味がある。2007年に一度訪問した際、社会的背景なども含めてなんとなく理解したので、2014年に世界遺産登録されたことは、素直にうれ…

保存とは

高岡は江戸の初期から鋳物の街だったそうな。なるほど、それが現在のアルミ産業に引き継がれているわけだね。その記憶をとどめている金屋町をふらりと歩くと、北端の方に気になるものがあった。案内板には、旧南部鋳造所の鉄を溶かすキューポラとそれに付随…

ローマ人の仕事

ローマ人が二千年前につくった南フランスの水道橋「ポン・デュ・ガール」のアーチを下から見ると、つくりが異なる石橋が並んでいることがわかる。写真の左側(上流側)がローマ人の手によるオリジナルであり、右側(下流側)がナポレオン3世の命による修復…

要塞ホテル

「ヨーロッパのドボクを見に行こう」という本をつくって広報活動をしていたら、当然のごとく自分がヨーロッパにドボクを見に行きたくなり、いてもたってもいられない状態になった。なので現在、またまたオランダを訪問し、再訪地を中心にしながらも新規のネ…

新規廃墟のその後

オランダのマーストリヒトの近くをかすめるベルギーのアルバート運河に架かる、ローラン・ネイの手によるユニークな橋梁「Vroenhoven橋」については、過去記事(移動しまくり)で触れた。橋梁本体の竣工年は2009年だが、2011年時点では周辺の整備が済んでい…

新しい廃橋

スイスを流れるローヌ川に架かる歩道橋。シエルという街の工業団地付近にある。正式名称がよくわからないので、Structuraeに倣って「イル・ファルコン歩道橋」と呼んでおこうか。1998年完成とのことだが、2011年の夏に訪問した時点でもまだ使われていなかっ…

ローマン・インフラ

ローマの繁栄はインフラ整備が鍵だったという理解は、まあ正しいと思う。「全ての道はローマに続く」と言われるように、有事の際に軍隊そのものや必要な物資を素早く移動できる舗装された交通インフラは、平時には交易の要にもなったりして、広大な国土の動…

エネルギーの廃墟

先日の福島訪問では、「いわき市石炭・化石館」や「みろく沢炭鉱資料館」を含めた常磐炭田関連の施設を、いわきヘリテージツーリズム協議会の方々から丁寧なご解説をいただきながら、駆け足で巡った。 その中でも最もビジュアル的な迫力があったのは、「常磐…

輪になって踊ろう

フランスの南部を巡ったときにはアヴィニヨンにも立ち寄ったのだが、もっとゆったり味わうべき街だった。ここの歴史地区は世界遺産にも登録されているってのに、ほとんど駆け足でバタバタしちゃっただなんて、実にもったいないよね。でもさすがに「アヴィニ…

道に迷って炭鉱に着く

世界遺産にもなってるドイツのフェルクリンゲン製鉄所を見に行った帰りに、うっかり道に迷ってしまった。全く意図せず、フランスに迷い込んでしまったのだ。そして、妙に狭くて荒廃した道を通る羽目に陥り、心底びびった。そこからチラリと見えたのが、上の…

放置自動車

アムステルダムのNDSMという再開発エリアの駐車場に、奇妙な物体があった。キューブ状にプレスされた鉄くずが、木製のパレットに載せられて、駐車升の中央に鎮座しているのだ。 もしかして、車のスクラップなんだろうかね。だとすると、所有者はちゃんと駐車…

消えゆく名橋

解体工事が進む旧・富山大橋を、隣接して架けられた新・富山大橋から拝んできた。一年前に訪れた時から比べても、かなり工事が進んでいることがわかるね。左岸側は上部工は完全に撤去され、下部工は一基のみとなり、右岸側に一部残されている桁も床版はすっ…

水の砦の現在

オランダは海抜より低い土地が国土の4分の1もの面積を占めているらしい(どの説が本当なのか未確認)。この環境のために発達した特異な防衛システムが「ウォーターライン」というもの。いざというときに水門を開放して土地を水浸しにすることで外敵の侵入…

ローマ劇場

リヨンの街には結構な高低差があって、丘の上から眺めるパノラマはなかなかのもの。建物の高さと屋根の色がビシッと統一されている街並みは、日本では見ることができない景観なので、じっくり味わいたい。 その丘の傾斜を利用した古い半円形劇場がある。築年…

遺構的IC

前から気になってた首都高の新富町IC。このあたりの首都高は、掘割の運河が道路に転用されているが、ここは川の交差点が出入口となっている。というか、首都高10号線が接続するジャンクションになるはずだった。というか、とっくに都市計画決定済みだし、そ…

補修の痕跡

碓氷峠のアプト式鉄道の廃線が、遊歩道として整備されている。鉄道でしか通れなかった橋梁やトンネルを、自分の足でダイレクトに体験できるってのは、うれしいねえ。 有名な碓氷第三橋梁(めがね橋)に接続する、「碓氷第五隧道」の内壁のテクスチャーがたま…

要塞アパート

先日の九州サーベイでは、九州最後の炭鉱「池島」にも行ってきた。もちろん長崎市嘱託の「地域おこし協力隊」として実際に池島に住み込みながら情報発信している小島健一さんにも、ものすごく久しぶりにお会いすることができた。この島でのリアルな炭鉱体験…

しめたん

福岡市の郊外にある鉄筋コンクリート造の竪坑櫓を有する志免炭鉱は有名だよねえ。産業遺産としての位置付けや保存についていろいろとすったもんだがあったようだし、廃墟マニア的にも優良物件らしいし、何しろそのフォルムが強烈に魅力的だし、略して呼ぶと…

近代技術の敗北

海上都市・ヴェネツィアから車で高速道路を1時間ほど北上すると、もうそこはアルプスの山の中である。しばらく車を走らせてロンガローネという村で右折し、山道をぐんぐん上ってトンネルを抜けると、ヴァイオントダム(Diga del Vajont)という「廃ダム」に…

リノベ前物件

ミラノ郊外のLodiという街で見かけた素敵物件。おそらく穀物用の倉庫だと思う。鉄道駅に隣接したバスターミナルの前という申し分ない立地、極めて端正なプロポーションのグリッド、上下にグラデーションがかかっているかのような表面のテクスチャー、どこを…

消えた高炉

僕がオランダに発つ前、蘇我のJFE第5高炉はベルトコンベヤーが取り壊され、次の解体ステップを待っていた。オランダから帰ってみると、ものの見事に、跡形もない更地になっていた。こうなることはわかってはいたのだけど、やりきれない悲しい気持ちがつきま…

ブンカー美術館

今回のベルリン訪問の中で、最も感激したのがSAMMLUNG BOROSという2008年にできた現代アートの美術館。Bunkerというコンクリートの要塞?防空壕?トーチカ?をリノベーションしたもの。外壁の厚さはなんと1.8mという、なんともばかばかしい元軍事施設。最大…

キリスト生誕以前の橋

今から2000年以上も前に築かれた水道橋、ポン・デュ・ガール。いやもうこれすごい。ローマ人はなんてものをつくってしまったんだ。しかもそれがほぼ完全な姿で残っているなんて。あまりの神々しさに完全に気圧されてしまった。人類はこの2000年間ほとんど進…

廃墟の魅力

自分はそれほど廃墟好きではなかったのだが、フェルクリンゲン製鉄所を体験したことによって、ちょっぴり見方が変わったような気がする。朽ちていくもののリアリティというか、自然と人為のせめぎ合いというか、時空を超越する感覚というか。まだうまく言葉…

リフトの余生

ロッテルダムにある1927年につくられたDe Hefという鉄道リフト橋。この区間の路線は1993年にトンネル化されたため、現在この橋は使われておらず、産業記念碑として残されている。 中央のトラス桁はタワー上部の滑車を介してその両端に結ばれたコンクリートの…

断絶した桁

先日、羽田方面に用事があったついでに、首都高羽田線の羽田可動橋を見に行ってみた。船からは見たことがある(回る橋)のだが、陸上からじっくり眺めたのは初めて。 この橋は現在使われておらず、常に開きっぱなしになっている。すぱっと2つに分断された桁…

本日の解体中高炉

およそ2カ月前の解体工事着手時と見比べると、進捗状況がよくわかる。ベルトコンベアがなくなり、熱風炉の上部がすっきりした。大きな視覚的特徴になっていた斜めのラインがないと、なんとなく物足りない。慣れのせいかな。

あの高炉がついに解体へ

昨晩、蘇我の第五高炉の解体作業がついに始まってしまったとの知らせを受けたので、ちょっとだけ早起きして様子を見に行ってきた。 現場では巨大なジブを掲げたクレーンが稼働していた。ボディに書かれている型番から察するに、800t吊りのクローラクレーン(…

もったいないもったいない

第5高炉のそばにあるガスホルダー、これも稼働停止状態なのかな。もったいない。小さい方を一つ持って帰りたい。

もったいない

昨日は蘇我に行く用事があったので、例の溶鉱炉のご機嫌伺いに行ってきた。フクダ電子アリーナ側はすっかり視線を阻害するものがなくなって、見事な溶鉱炉ビューを望むことができる。やっぱりもったいないよね、これをなくすのは。

本日の高炉

このところ、月1くらいのペースで蘇我に行っている。役目を終えて解体されゆくJFEスチール東日本製鉄所千葉地区の第5高炉を見るために。様子が刻々と変化していくのかと思っていたのだが、ありがたいことにこの頃とあまり変わっていない。手前の土地がきれ…

むき出しの炉

およそ1ヶ月前のJFE第5高炉解体現場。このときはちょうど、高炉の手前に2つの転炉がむき出しになっていて、ものすごく興奮した。 転炉とは、溶鉱炉でどろどろにした銑鉄を受けて、鉄鋼に転換する樽型の容器のこと。隣にいる青いトラックと比べてもらう…

高炉で繋がるネットワーク

先日紹介したすてきなことになっている高炉に反応して、複数の方々が実際に見に行ってくださった。それぞれのブログでそれぞれの視点から興奮の様子が語られているので、ぜひとも参照してくだされ。 ■俺は魚だ,と言ってみるテスト「解体中の製鉄所に行ってき…

さよなら高炉

蘇我駅前から見える製鉄所は、期間限定ながらすてきなことになっている。手前にあった建屋が解体され、すでに操業を停止している高炉の姿があらわになっているのだ。近いうちにこの高炉も解体されてしまうらしい。ドイツのランドシャフトパーク(Das Otterha…

土木ツアー

先週末は遅い夏休みを無理やり取って、北海道に行ってきた。旅の主な目的は、かつて北海道で働いていたときに関わらせていただいた土木構造物のその後を確認し、懐かしい思い出に浸ること。ついでに、ルート付近にある様々な土木構造物や土木的空間を見て回…

三角の橋の余生

夕張のダム湖にかかる旧森林鉄道の三弦トラス橋。極めて珍しい三角形の断面を持つ形式、当時の最新技術である全溶接を採用したこの橋は、昭和33年に架設され、昭和41年に廃止された。以来、放置されたまま時が流れたが、近年になって、産業遺産として注目さ…

鋼鉄の天守閣

蘇我駅前の通りは、鉄鋼の街を象徴する景観になっている。“山アテ”ならぬ、“高炉アテ”なのだ。そのことを意識して高炉を配置、もしくは、道路を整備したのかどうかは不明だが、高炉が確実にランドマークとなる印象的な構図が形成されている。この景観を日常…

滝になったダム

“ピョウタンの滝”と呼ばれる構造物が北海道にある。天然の岩と人工の平滑面が共存するユニークな姿と、その組み合わせによって生まれた豪快な落水表情から、なんとも不思議な感覚に浸ることができる。 元々は発電用のダム(正確には堰堤)として、昭和29年…