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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

清正への挑戦

熊本地震の直前に放送されたブラタモリに登場した「鼻ぐり井手」を見に行った。1608(慶長13)年、新田開発のために加藤清正がつくったとされる農業用水路の施設であり、穴の空いたフライングバットレスのような壁が連続しているものだ。水路を流れる水に渦…

穏やかな謎の国

5年前のスイス訪問時にもリヒテンシュタイン公国へ行った。しかし、さらっと通過しただけであり、写真すら一枚も撮っていなかったので、もしかすると本当は行っていないんじゃないかなどと思うようになった。このため夏のアルプスドボクツアーでは、ちゃんと…

地域の材料

つい先日、宇都宮を散歩する機会があったので、すぐ近くに産地がある「大谷石」の使われ方を気にしながら歩いてみた。これまで何度か大谷資料館などの採掘場跡地を訪問していたので、倉や塀などの使用例が極めて多いことはある程度知っていたんだけど、思い…

都市内サーフィン

海岸から500kmほど離れた内陸都市のミュンヘンにあるエングリッシャーガルテン(イギリス庭園)の一角に、なぜかサーファーが生息しているという情報を、何年か前にテレビか何かで得ていた。アルプス訪問の際にそのことを思い出し、本当にそんなバカバカしい…

大人の質感

チューリッヒ中央駅はもともと大きなターミナル駅であるが、2014年頃(未確認)には通過式の路線が地下につくられたようだ。それ以前にも改修に次ぐ改修が行われてきたんだろうね、順次拡張してきた痕跡が随所に見られる。 ところが、見た目や利用に関して、…

手段の目的化

韓国の埋立地に架けられた斜張橋。曲線の柱で構成された斜めに傾くタワーを介して、橋台をアンカーとしながら張られたケーブルが水面上の桁を引っ張り上げている。そして、その桁の上を別の高架橋が遠慮なく跨いでいる。高架橋の橋脚の向きや形状を見ると、…

地域の代表的な風景

「地域を代表する風景」ってのは、郷土史のフィルターを経て古典化し、一般的な価値を獲得したものだろう。そういうものでないと、観光パンフレットに掲載しにくいだろうし。それ自体はそれほど疑ってないのだけど、個人的な地域のイメージとなると話は少々…

どこまでも人工空間での生活

アムステルダムが面するアイ湖(IJmeer)は、もともとゾイデル海(Zuiderzee)だった水面を、締め切り大堤防・アフスライトダイク(Afsluitdijk)によって淡水化した「人造湖」だ。その中に、アムステルダムの土地不足を解消すべく「人工島」を構築し、そこ…

日本のオランダ

今年の大型連休は、秋田に滞在した。かつて自分が設計に関わっていた橋梁や道路を巡るとともに、この地に根を生やした大学の同期に会うためだ。各所で素晴らしい体験ができたので、すっかり秋田ファンになってしまった。 その際、いつか訪れたいなあと思って…

でっぱり物件

オランダの建築家集団MVRDVによる設計で、55歳以上の年齢制限がある高齢者用集合住宅「オクラホマ」。1997年に建てられた。 いくらなんでもそりゃ出っ張らせすぎだよと思いつつ、実際に見てみると、あまりにも豪快に出っ張っていて本当にびっくりする。なん…

富山のインフラツーリズム

昨年度の後半にお手伝いさせていただいた富山における「インフラツーリズム」が、富山県と土木学会中部支部の共同主催により、いよいよ実現することとなった。富山県土木部のみなさまを中心とした関係者の方々の熱意とご尽力に、心から敬意を表したい。 「と…

テトラ愛

富山地方鉄道本線の中滑川(なかなめりかわ)駅前には衝撃的なオブジェが設置されている。上端には水が噴き出す仕掛けが設置され、全体が白く塗られ、脚部にはそれぞれホタルイカらしきファンシーなイラストが施されたテトラポッドが鎮座しているのだ。 この…

インフラツーリズム情報誌

昨年の秋から頻繁に富山を訪れるようになった。「インフラツーリズム」という新しいコンセプトに基づいて、富山土木を観光対象として扱ってみようというプロジェクトに参加していたためだ。ちなみに上の写真は堀込み式港湾である富山新港の湾港に架かる新湊…

イタリアが好きになる理由

ヴェローナのカステルヴェッキオ美術館(古城の軽い橋)、ヴェネツィアのクエリーニ・スタンパリア美術館(スカルパの橋)などをじっくり見た結果、カルロ・スカルパの信念に基づく動線計画の緻密さやディテールの工芸的完成度の高さなどにすっかり魅了され…

平地コンプレックス

愛媛県宇和島市の「遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑」を訪問した。急峻な地形の輪郭が、ジャガイモの葉の緑と石垣との鮮やかなコントラストが生み出すコンターによって可視化されている。これほどインパクトのある景観は、そうそう見られるものではない。…

岬の上の小さな村

イタリアの構造設計家のリッカルド・モランディが設計した「Lussia Bridge(Ponte Morandi)」は、構造のおもしろさと凛としたたたずまいから、個人的な「死ぬまでに体験しておきたい橋梁ランキング」の上位にいつも位置していた。2年前に2ヶ月間ほどミラノ…

理解を超える連続

オランダの最南西部の東スヘルデという河口もしくは湾に架かるゼーランド橋(Zeelandbrug)。橋長は5kmを越えて、線形は一直線。支間長95mの変断面PC箱桁は、船が通る特殊部を除いて、52回もしつこく繰り返されている。 まあ意味不明感がすごいよね。CGかと…

重層する交通モード

万葉線(旧加越能鉄道)の終点である「越の潟駅」、港を渡る富山県営渡船の「越ノ潟発着場」、2012年に開通した「新湊大橋」による、雨の夕方の風景。 伏木富山港のうち射水市の新湊地区(富山新港)は、もともと潟湖だった地形を利用した掘込み式人工港湾で…

いい色

先日、千葉港の沖合から京葉コンビナートの夕景を眺める機会をいただいた。日中は雨混じりの曇り空だったけど、日没する前後で雲が薄くなり不思議な色合いの空、そして海面になった。ほんのわずかな時間ではあったけど、なんとも浮遊感のある幻想的な体験が…

音楽の橋

今年の5月にローマのテヴェレ川に架けられたばかりの、Ponte della Musicaという鋼アーチ橋。現時点では歩道橋だけど、将来はバスやトラムが通ることを想定しているらしい。 きっちりときれいにまとめられた橋ではあるが、既視感のある構造フォルムやカラー…

コンテナスケープ

バルセロナ市街地を一望できるモンジュイックの丘の一番高い場所には、モンジュイック城がどんと構えている。この城は軍事要塞として使われ、監獄として使われ、現在は一般開放されていて一部が軍事博物館として使われている。市内からは、地下鉄、ケーブル…

アルプスの少女

まだ寒い頃だったある日、オランダのテレビのチャンネルを何気なく変えていたら、見たことのある絵が目に飛び込んできた。ハイジだ!ハイジがオランダ語をしゃべってる!びっくりすると同時にうれしくなって、テレビにかぶりついて見続けてしまった。 久しぶ…

電力畑

ベルリン近郊の上空にて。牧歌的な農地が風力発電の畑として二次的に利用されている。ドイツが再生可能エネルギーに力を入れているということがひしひしと伝わってくる眺めだ。こうした風景は日本でも身近なものになっていくのだろうか。

2つのS

ボーフムの工場跡地を活用した公園の端部に、2つの斜めの主塔からS字の桁を片面で吊るリングガーダー橋がある。かなり素敵。結構高い位置で道路と鉄道を軽やかに跨ぐ体験はなかなかのものだ。詳細はこちらからどうぞ。 schlaich bergermann und partner : B…

飛び地の聖地

だいぶ前のことになるが、グーグルマップでオランダを眺めていたところ、ベルギーとの国境がなにやらおかしなことになっている箇所を見つけた。ん?なんだろうこのノイズみたいなものは?と思い、おもむろに拡大していったのだが、それはますます不可解な図…

美しい橋

僕は「美しい」という言葉を普段はあまり使うことができない。なにかを「美しい」と形容したとたんに、その対象の意味が軽くなってしまうような気がしてびびってしまうのだ。しかし、フランスの南部のタルン川渓谷に架かるミヨー橋を見たときには、思わず「…

生産の現場

少々血迷って、メルヘンな写真を載せてみよう。昨日はオランダ北部に広がる花卉栽培の風景を見に行ってきた。この時期のオランダを代表する眺めなので、一応見ておかねばならないかなと思ったわけだが、どこまでも広がる色鮮やかな農地に圧倒された。生産高…

ミレニアム

ふと気がつくと2000年からもう12年も経過してしいたが、ようやくこのたびロンドンのミレニアムブリッジを参拝することができた。ミレニアムって響きの浮かれっぷりが少々気恥ずかしくなるのだけど、キリスト教国では極めて特別なイベントだったんだろう。ロ…

極めて高価な爪楊枝

スキポール空港のすぐそばのHaarlemmermeer(タイプミスのような綴りだけど、オランダってこういう地名が多いね)というエリアを貫く水路には、カラトラバの斜張橋が3つも並んでいる。 これらは爪楊枝のような同じ形の斜め主塔で統一されているが、それぞれ…

ダッチ土木の伝統

せっかくオランダに来たからには、いかにもオランダらしい風景をしっかり見ておかねばなるまい。そこで先週末、ユネスコの世界遺産にも登録されているキンデルダイクの風車ネットワークを見に行ってきた。「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつ…

セーヌ川最新歩道橋

パリのセーヌ川に架かる一番新しい橋であるSimone-de-Beauvoir歩道橋。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という名言を残した、あのボーヴォワールの名前を冠している。知ったかぶりしてみたけど、どんな人かは全く知らない。 右岸側のベルシー公…

広い空

オランダの空は北海道のそれと同じように、とても広く感じる。晴れているときはもちろん、曇っているときも広く感じる。室内から外の様子を見たときや、建物越しに見える空も広く感じる。空が広く感じるって、どういうことなんだろう。

雨のコンビナート

湿度が高いと、水蒸気は飽和したまま漂い続ける。だから、雨が降ってるときのコンビナートもいいもんだよ。四日市にて。

聖地巡礼

来週は工場マニアの聖地、四日市に行ってくる。ただ工場を眺めに行くだけではなく、人前で工場景観の話をしなければならないというおまけつきだ。そろそろそのネタづくりに取り掛からなければいけない時期に来ているのだが、なかなか重い腰が上がらない。し…

夏の空

日曜日の夕方、横浜に行ってきた。空の色とコンビナートの明かりが、とてもいい感じだった。しばらくぼんやりと眺めていたのだが、急に大粒の雨が降ってきたのでそそくさと退散した。夏だね。

夕暮れコンビナート

日が暮れてから闇に包まれるまでの短い時間はたいていのものがかっこよく見えるけど、石油化学コンビナートのシルエットは特に好きだな。

ルーフバルコニー

釜山のスラムっぽい街で見かけた光景。 ボロボロな屋根が連なる中に、洗濯物とともに真っ白な椅子が鎮座していた。 なんだか、居心地がよさそうな空間だった。

冬の感覚

札幌を離れ、千葉で暮らしはじめて5年が経とうとしている。冬の感覚は、完全に南関東仕様に切り替わってしまっている。このところ、ずっと晴天に恵まれているので、なおさらだ。 冬の事故や災害は、被害が拡大しやすい。寒かったり、吹雪いたり、人間もイン…

半公共空間

台湾の街は、なかなか面白い。商店街が至るところにあり、それぞれ活気に満ちている。 このことは、建物と街路の関係が大きく関係しているような気がする。建物の1階前面を歩道空間として開放し、『騎楼』と呼ばれるアーケードを形成している。2階以上の階…

坂の上の高層アパート

坂の多い街、釜山に来ている。結構な急斜面に、びっしりと建築物が貼り付いている。低層住宅だけでなく、高層アパートもかなりのボリュームで群生している。異様な景観が形成されていて、移動中にちょいと眺めるだけでもわくわくする。 ところが、軟禁状態に…

都内の大平原

中防見学ツアーに参加させていただいた。中防とは中央防波堤埋立処分場のこと。早い話が、東京湾にあるゴミによる埋立地を見学してきたわけだ。 これが、予想以上に面白かった。充実した見学内容や聞き応えのあるガイドトークなどへの満足度も高いけれど、目…

農の風景

自分の場合、大自然の眺めもいいと思うけど、農地の眺めのほうが好きだったりする。たぶん、人の手が加わっているからだと思う。 久しぶりに美瑛の丘を眺めてみて、やっぱりすてきな風景だなぁと感じた。同時に、この風景がこれからどう変わっていくのかとい…

生活の路

上海には古くからある未整理の集落が、ちょこちょこ点在しているようだ。そのうちの、川と高速道路と再開発地区に取り囲まれたエリアに行ってみた。もちろん一人ではなく、中国人と一緒に。 迷路のように複雑に入り組んでいる狭い小路には、唐突に流し台があ…

晴天のパンツ

今日の上海は晴れ。洗濯物もよく乾く。 なんなんだ、この街のコントラストは。

茜色の鉄塊

工場景観の面白さのひとつには、時間による表情の変化があると思う。特に移り変わりの激しい夕暮れ時は、ボーッと眺めていても飽きることはない。いい具合に光を反射して、いい具合にシルエットを魅せてくれる。それが刻々と変化していく様は、なかなかグッ…

水上都市

昨日は横浜キャナルクルーズに運良く参加させていただいた。これは、横浜や川崎の運河クルーズ体験が新たな観光資源となり得るか、どのような仕掛けを用意すればよりよい体験が得られるかと言った、検証実験的な位置付けで行われたもの。子安地区を中心に、…

良い景観

先日、朝日を受けて赤く染まる富士山を見た。当然のごとく、その荘厳な景観に感激した。 おそらく、日本人の誰もが富士山を中心とする景観は「良い」と感じるだろう。もっと広げて言えば、人間の手があまり入っていない自然の景観は「良い」と決めつけて良い…

下町の頑固さ

浅草の地下街に通じる階段。かなり怪しげな雰囲気を醸し出しているけど、地上からのメインエントランスだ。たぶん。この地下街、見た目からしてもかなり古い。営業開始は昭和30年(1955年)らしいので、すでに半世紀ということになる。その時期から考えると…

個人的名橋

僕は子供のころ、3年間ほど北海道の旭川に住んでいたことがある。近所には『旭橋』という鋼アーチ橋があり、日常的に目にして、触れていた。当時、この橋に関する知識は「戦車や路面電車が通っていた」ということくらいしかなかったが、ただならぬ存在感は…

公共の感覚

コペンハーゲンの街並み。 よく見ると、空中に道路用の照明灯が浮かんでいるのがわかる。細いケーブルを沿道の建物に直接アンカーして、灯具を吊り下げているのだ。 いままでの日本人の感覚だと、自分の建物に公共の施設を取り付けるだなんて、なかなか成立…