はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

設備

備蓄の現場

またしても世界がたいへんなことになりかけている。ペルシャ湾からのエネルギー供給が途絶えることは、まだまだ原油に頼り切っている世界の前提が崩れることでもある。このまま行くと、電力、交通、生産などがダメージを受け、あらゆるものの物価が急上昇し…

百貨店の象徴

百貨店業界の衰退が顕著になって久しい。その理由はさまざまあるのだろうが、まったくの専門外である僕には論じる資格はない。個人的に言えるのは、そもそも百貨店はめったに行かない場所で、縁遠く、確実に苦手だということだけだ。ところが訳あって、今日…

路地の結界

浅草の表通りから路地に一歩踏み入れると、何者かが発する威圧感におののいた。それぞれがキャラ立ちしている、個性豊かな守護者のような室外機たちが、無言で、無表情のままこちらを見下ろしてくる。 彼らの間隙を突くように、配管が勢いよく流れている。水…

低地の国の治水

オランダの「Room for the River (Ruimte voor de Rivier)」プロジェクトの中でも最大級とされる「High Water Channel (Hoogwatergeul) Veessen-Wapenveld」を見に行った。これは、写真右側を流れているアイセル川が増水したときに、膨大な量の水を受け入れ…

スロープ鑑賞

緩やかな傾斜に面した店舗の前で、路面との段差を解消している縞鋼板のスロープをゆっくり鑑賞する。立ち止まって、いろんな角度から、時間をかけて眺めることが大きなポイントだ。もちろん写真で記録することも怠らずに。たとえ、通行人に訝しがられても。 …

不知を自覚する機会

昨日は野暮用ついでに、自分の生活圏にはあるものの頻繁には通らない線路沿いの道を歩いた。すでに10年以上も勤務している職場の窓からもしっかり見えるので、無意識的に「よく知っているつもり」になっていた。そして、実際は「知らなかった」という残酷な…

わかりにくいパーティション

オランダの本名はネーデルラント、つまり低い土地。そこを流れる河川は、洪水や高潮に対する防災のための排水路、物流や交通のための運河の両者が、おそらく高度に融合して機能している。長い時間をかけて人為的な分流や合流を繰り返してきたのだろう、同じ…

回想する階段

素敵なコンクリート造形物の写真を探していたところ、すでに取り壊されてしまった『西武大津ショッピングセンター』の外階段に行き着いた。なんともかっこいい階段だよね。個人的に収集している「ゴージャス避難階段」の中でも、傑出した造形だと思う。火災…

絶滅危惧種

街中の自販機の横にちょこんと佇んでいたかわいい子たちが、急速に姿を消している。そう、リサイクルボックスたちのことだ。彼らを愛でてきた僕の肌感では、2〜3年前からその傾向が顕著になってきた気がする。つい先日は、駐車場の敷地に道路側を向いて設…

伏し目がちな人々

札幌の室外機は、台に乗せられて専用のカバーをまとっている場合が結構多い。それは雪国ならではの装いだ。降り積もる雪に埋まらぬように、厳しい風による着雪をしのぐように。さらに、屋根からの落雪やつららの落下を避けるために、小さな屋根に守られる場…

モヤモヤする添架物

今年の初夏の話。東海道新幹線の車窓を楽しんでいると、河川に架かる仮橋の桁側面に目を奪われた。なんだこれは?上下にジグザグする添架物!いったいなんなの?とテンションが爆上がりして、取り急ぎ写真を撮った。新幹線はピンポイントの対象物をゆっくり…

豊かなダム体験

もともとは灌漑専用のダムだった福島県が有する千五沢ダムは、再開発によって治水機能が付加された。その際に整備されたのが、洪水調節機能を有するラビリンス型の洪水吐。これがなかなかお目にかかれないレアもので、その異様な姿にときめいた。形状はずい…

ホンモノになりたい

芸術や技術などの創造的行為において、自然の成り立ちや他者の技能を体験的に模倣することは極めて重要な意義がある。模倣を繰り返すことで良質の学びを得るのだ。そう考えると、丸太風の外観をまとったコンクリート製水飲み場も、模倣によって新たな価値を…

斜線の立体ファサード

松本駅の近くにあり、バスターミナルや商業施設が入っている大型複合施設「アルピコプラザ」。大きな床面積を持つ施設には、各フロアから直接地上に到達できる避難階段が複数必要になる。このビルは、そんなルールを正面から受け止め、避難階段によくある申…

魔改造水飲み場

弘前では雨に降られたことでまち歩きを断念し、8つある前川國男建築を巡ることに注力した。弘前公園の中にある弘前市民会館と弘前市立博物館の外観を一通り眺め終えると、目の前にあった水飲み場に目を奪われた。 3方向に分岐する水道管が、躯体の表面に露…

高低差の折り合い

狭い敷地の中で円弧を描くように高低差を解消している階段とスロープ。エッジの効いた段差と滑らかな曲面の対比は、得も言われぬ緊張感がある。周辺も含めたコンクリートのブルータルな造形とテクスチャーが、より印象強いものにしている。 なんというか、こ…

更新履歴

あるビルの壁面に、さまざまなパイプ、ケーブル、換気口、窓などの設備が複雑に入り組んでいる。その縦横無尽でアクロバティックな様子を眺めていると、それぞれの登場人物が、お互いに文句を言いながらも、尊重しつつ、共存しているように思う。そして、自…

寄り添う

リサイクルボックスの観察は、そこそこ頻繁に行っている。しかし、この二人の愛おしさを超えるものにはなかなか出会わない。 なぜか傾斜がついている場所に置かれて斜めになったリサイクルボックスが、きっちり水平を出してしっかりと佇む自販機に、そっと身…

上昇と下降

僕は子どもの頃にエッシャーの絵にのめり込んでいた。おそらくエッシャー展に連れて行ってもらったのだろう、リトグラフのポストカードを何枚か手に入れ、額に入れて自室にずっと飾っていた。ありがたいことに実家で保管してくれていたその額を、数年前に受…

名塔に大空間を与えたEV

あらためて写真を眺めても、エッフェル塔はすごいな。ここまで多くの人に感動を与えられる構造物も珍しいんじゃないか。誕生当時のディスられっぷりは凄まじかったようだが。 ひとつひとつの部材が極めて注意深く構成された肌理の細かさにも驚愕するけど、な…

不当な扱い

今日は駐車場に関する文章を書いていたのだが、すっかり迷走してしまった。駐車場って現代の都市において極めて重要な役割を担っているのに、不当に低く扱われているんじゃないかと憤慨しはじめたのだ。 駅とか空港などの交通モードが切り替わる場所って、そ…

喫煙祭壇

昨年の夏、山口へ出張した際に街をうろついていたら、たまたまブルータルな雰囲気の建物の脇を通った。よく見てみると、山口市民会館と書かれている。回り込んでみると特徴的な階段が目に止まり、誘われるように登った。そのアプローチの先にあったのが、上…

迷彩ペイント扉

先日たまたま通りかかった複合商業施設にて、衝撃的な消火設備や電源設備の扉に出会った。そこそこの厚みがある石材をゴージャスに貼り付けて、おそらく地中海の石積風の演出を徹底している壁面もすごいが、なんとスチールの扉部分は手書きでペイントされて…

整っていない大階段

福島県相馬市の伝承鎮魂祈念館に向かう最中、防潮堤に張り付いている大きな階段が目に止まった。その存在感と同時に強い違和感を抱きつつ、ザワザワしながら通り過ぎた。 この階段のすぐ先にある祈念館と慰霊碑を訪問し、震災前と震災直後の風景写真や映像を…

室外機の新陳代謝

インドのデリーでは、様々な室外機のありようを目撃することができた。たいへんな傑作がいくつもあったが、その中でも秀逸だったのがこの室外機群。ここまで立体的な構成は、なかなかお目にかかれない。自己複製を繰り返すような生命感に満ちている。きっと…

DIYマインド

先月のニューデリー出張では、毎朝1時間ほどホテルの近所を散歩した。全く観光客などいない住宅地だったので、なんとなく現地の生活を垣間見ることができ、たいへんワクワクする刺激的な時間となった。 そこで衝撃のDIY作工物を見かけた。おそらく大五郎的な…

世界屈指の夜景

素晴らしい電波塔を至近距離から拝めるという稲佐山山頂に行ってきた。なにしろ、そのための立派な展望台があるのだ。乗ろうと意気込んでいたロープウェイが点検のために運休中だったことや、やたらと寒かったことなど、全く気にならないほどステキな眺めだ…

試される平衡感覚

自走式立体駐車場に車を止めるとき、なんとなくいつもの感覚からずれてしまい、うまく駐車マスにおさまらないときがある。いろんな要因が重なっていそうだけど、上の写真のような螺旋状の走行路と駐車マスが同一平面にある傾床式駐車場では、それが頻発する…

囚われのドロイド

これらのリサイクルボックス群の見え方は、人によって微妙に異なると思う。僕の場合は、ジャワ族によってサンドクローラーに囚われたドロイドたちに見える。そうでなくても、多くの人はハリウッド映画に登場するロボ的な何かを想起するんじゃないかな。そん…

群生するプランター

既報の通り上海の都市内ジャンクションは見事な密度感であるが、大量のプランターによる緑化も見逃せないポイント。本ブログでたびたび取り上げている「緑化とは何か」問題を、ガツンと突きつけられる。 高速で走行する車から草花を鑑賞するためとも思えない…