はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

都市

きれいな城砦

九龍城砦公園に行くと、まずテンションが上がるのがブロンズの鋳物っぽいミニチュア模型。これがまた、とんでもなく出来がいい。みっちり詰まった違法建築物群の塊感がそのまま立ち上がっていて、背後にある断面図とセットで見ると、カオス空間の内部に折り…

更新のタイムラグ

香港の古びたショッピングモールから、街を眺めてみた。手前にある5〜6階建てのビル群には、埃や排気ガスをたっぷり纏った壁面、それを包み隠すように塗られたカラフルな塗装、おなじみの後付け室外機やパイプ類など、時間をかけて使い倒されてきた生活の痕…

フルーツマーケットにて

香港に入国したのは、23時30分頃だった。空港からタクシーでホテルへ向かう途中、真夜中にもかかわらず異様な活気を放つ一角を通過した。車線数が制限され、トラックが横付けされ、大量の荷が積み上がり、人がせわしなく動き回っていた。そのときは熱量に圧…

パイロン祭り

先日の夕方、仕事に疲れたので早く帰宅しようかなあ、よく晴れているなあ、入手したばかりのカメラを試したいなあ、そう言えば最近になって総武線の車窓から見える風景をあらためて体験しておきたいと思っていたなあという状態になった。思い立ったが吉日、…

交通インフラの集積地

久しぶりに体験したオランダの都市は、鉄道駅が担う交通結節点の機能をずいぶん強化しているように感じた。今回訪れたデン・ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒト、アムステルダムは、15年前と比べて大規模に改造されていた。あ、ナイメーヘンにも行ったのだけ…

ゆるタク

うだるような暑さの中をトボトボ歩き、ようやくJR幕張駅に到着した。そして南口の様子を目の当たりにして、ニヤけながらも高揚感や安堵感や恍惚感に包まれた。なにしろ「タクシー」の路面標示がゆるい方向に自由奔放だったので。 思えば、現代の多くの駅前…

閑散モール散策

この週末も神戸に来ている。せっかくなのでまち歩きをしようと思って、お昼頃に新神戸駅に到着する新幹線に乗った。しかし、あいにくの雨でどうやって行動するか悩みながら屋根がある通路に導かれてトボトボ歩いていたら、「コトノハコ神戸」というショッピ…

銀座の交差点の公園

今年も「東京建築祭」のガイドツアーに参加できた。そのうちのひとつは、かつてソニービルがあった銀座の一等地に新たに生まれた「Ginza Sony Park」だ。施設のオープン前の時間帯に、関係者の方々にお話しを伺いながら見学させていただき、このプロジェクト…

少し前の釜山郊外

30年前の今日は、忌々しい地下鉄サリン事件が起こった日。その時の僕は、就職先の札幌で暮らす準備をしていたのだろうが、具体的になにをしていたのかは憶えていない。 仕方ないので20年前の今日は、僕は何をやっていたのかなと写真フォルダを遡ってみると、…

リアルなフィクション

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 昨年末は香港とマカオの2都市をはじめて体験し、そのサイバーパンク感に大興奮した。そして冷めやらぬ中、元日に帰国した。この2都市は近距離ではあるものの、ずいぶん印象が異なった。もち…

超高密度都市体験

今年の年末は、はじめて香港を体験しに来ている。まだ実質初日であるが、2階建てトラムの最前列を陣取ってはしゃぎまくり、モンスターマンションと呼ばれる集合住宅をはじめとする高層団地群たっぷりじっくり堪能し、大量の餃子や雲呑を味わい、すっかりヘ…

女川のまち

女川原発2号機が再稼働したとのこと。2011年の巨大地震と津波によって外部電源の喪失、地下設備の浸水などの被害が出て稼働停止し、高さ29mの防潮堤を整備するなどの安全対策工事を進めて、2020年に原子力規制委員会の審査を通過した。ここに至るまでに、ず…

更新を続ける都市

コンコルド広場ではアーバンスポーツ、エッフェル塔の前ではビーチバレー、グラン・パレではフェンシングやテコンドー、アンヴァリッドの中庭ではアーチェリー、セーヌ川では開会式やトライアスロン。文字通り都市そのものを舞台としたパリオリンピックは、…

微ズレ

「塔博士」「耐震構造の父」として有名な内藤多仲が設計した二代目通天閣。見に行きたいものリストの上位に入っているのになかなか行かなかったが、ついに訪問することができた。直線で構成されているのシルエットが、思っていたよりシュッとしていて、かっ…

東京の新しい視点

「東京建築祭」というイベントが2024年5月25日と26日の2日間を中心に開催された。ロンドンで開催されている「Open House London」や、大阪で開催されている「生きた建築ミュージアム大阪(イケフェス大阪)」と同じように、実際に使われている建築物が特別に…

街路からのまちづくり

先日、3年ぶりに松山に出張してきた。その際に、偶然通って気になった「ロープウェイ街」を再訪した。この街路は、2006年に再整備されたもの。電線類の地中化、バリアフリー化、スラローム線形の導入などとともに、2 車線を1車線に減らし、自転車道を設けて…

キノアト

中古車販売会社の店舗前に限り、街路樹や植栽が枯れたり、伐採されたりしているという。もし事実であれば、とんでもないことである。公共の財産を私的な目的でなきものにするという事態、完全に常軌を逸している。関係各位には厳正な対処をお願いしたい。 そ…

セーヌ川に架ける橋

またまた古いフィルム写真から。1999年にパリを訪れた際には、供用を目前に控えて静的載荷試験中だったレオポール・セダール・サンゴール橋(当時の名称はソルフェリーノ橋)を訪問した。それは、設計者のマルク・ミムラム氏に現場で解説していただくという…

埋立地の新しい街

僕が学生だった1990年頃、幕張新都心はまっさらな埋立地に突然たくさんの高層建築が生えた、不思議な街だった。その頃はまだ居住区が整備されておらず、そこかしこに空地が目立つ状況だったように思う。自分の卒論では、キロの単位で視距が確保できたこのエ…

駅前の居場所

多治見駅北口にある「虎渓用水広場」は、一般的な駅前広場のイメージとはかけ離れた、常に水音が響く豊かな空間がある。わかる人にしか伝わらないだろうが、「あつまれ どうぶつの森」の良く出来た島のような、のんびりとしたイメージ。春にここを訪問した際…

残す再開発

ロンドンのセント・パンクラス駅とキングスクロス駅に近接し、1820年に開通したリージェンツ運河の北岸にある「コール・ドロップス・ヤード」というショッピング・モール。その名の通り、鉄道と運河を結びつけて石炭を積み降ろすことで産業革命を支え続けた…

地表と地下のレイヤー

昨日、自動車に支配された地上のレイヤーと、そこから追いやられた歩行者のレイヤーについて、ものすごくぼんやりと考えていた。 きっかけは、札幌の地下。ここは歩行者が追いやられたわけではなく、積雪寒冷地ならではの解決策なんだよなあと思ったところで…

社会の積層

東京は「レイヤード・シティ」と表現してもいいんじゃないかとずいぶん前から思い込んでいるわけだが、KITTEの屋上庭園にふらりと立ち寄った際にその思いを強く抱いた。ちょうど、東京の運河クルーズでの体験と同じような印象と言えばいいだろうか。スケール…

毎日が遊園地

3月に広島に出張した際に、ずいぶん前から「いつか見に行くリスト」に入れていた「スカイレール」を、ようやく体験できた。噂に違わず、血湧き肉躍る唯一無二の新交通システムだった。なにしろ懸垂式モノレールなのかロープウェイなのかゴンドラなのかケーブ…

不当な扱い

今日は駐車場に関する文章を書いていたのだが、すっかり迷走してしまった。駐車場って現代の都市において極めて重要な役割を担っているのに、不当に低く扱われているんじゃないかと憤慨しはじめたのだ。 駅とか空港などの交通モードが切り替わる場所って、そ…

廃天井川という器

滋賀県の草津市に、江戸時代から引き継がれた都市内の天井川の跡地という、極めて特殊な環境に立地している帯状の公園がある。「de愛ひろば」と名付けられた公園は、中央部にいると両側が囲まれたスリバチ状の窪地なんだけど、両端部に行くと街を見下ろすこ…

至高の視点場

昨年の3月、大手町と神田の間に「竜閑さくら橋」という歩道橋が架けられた。昭和につくられた首都高の間を抜けて、大正につくられた鉄道橋に近接しつつ、江戸につくられた日本橋川を跨ぐという、超絶複雑な都市環境を明快にクリアしていることは本当にすごい…

崩壊した壁

今日がベルリンの壁崩壊から30年という記念日であることを先ほど知った。もうそんなに経ったのかという気持ちと、まだ30年しか経っていないのかという気持ちと、どちらもある。振り返ってみると、この日を境に世界が動いたことは間違いなさそうだ。 僕がベル…

用水の恩恵

三島市街地を貫流する源兵衛川。いろんな賞を受賞している有名物件なので、ずいぶん前から見に行かなきゃと思っていたのだが、1ヶ月ほど前にようやく実行した。大きな声では言いにくいが、ここの写真や論評などはチラホラ見ていたのに、どこかピンときていな…

転換のシンボル

あけましておめでとうございます。本年も本ブログを生暖かく見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。僕は新年早々、休暇をフル利用して海外逃亡しており、スペイン北部のバスク地方とリオハ地方を巡っている最中です。まあ自慢なわけですが…